今や夢昔やゆめとまよはれていかにおもへどうつゝとぞなき
「建礼門院右京太夫集」より
大原の里を歩いたのは、2週間前の1月9日。
冬とは思えぬ暖かく穏やかな1日で、里歩きをたっぷり楽しみました。
ボケ |
それなのに、ブログをアップしている今日23日は、夕方から雪の予報が。
日本列島はこの2週間で、急激に冷え込んでしまいましたね。
寒いこと寒いこと。
9日は三千院のお庭を堪能した後、のんびり寂光院へと向かいました。
お花がたくさん咲いていましたよ。
ツバキ |
シャクナゲ
シャクナゲ |
ロウバイ
ロウバイ |
寂光院は、大原にある天台宗の寺院です。
平清盛の娘・建礼門院が平家滅亡後源氏にとらえられ隠棲した所です。
建礼門院とは、高倉天皇の中宮で壇ノ浦で入水した安徳天皇の母・平徳子のことで、
平家物語のゆかりの寺として知られています。
平成12年5月9日未明、放火により焼失。
今の建物は、その後再建させたそうです。
心無いことをする人がいるのですね。
学生時代に古典で学習した「建礼門院右京太夫集」を思い出しました。
建礼門院に使えていた女性が大原に隠棲する昔の主人を訪ねた時の様子を書いたものです。
今や夢昔やゆめとまよはれていかにおもへどうつゝとぞなき
暗記させられました。
記憶が正しいか確かめたくなり、調べてみました。
239 - 241 今や夢〜山深く
女院(建礼門院)が大原にいらっしゃるとだけはお聞き申し上げていたけれど、しかるべき人に了解をなしには、お参りする方法もなかったのを、女院に思い申し上げる深い真心を道案内にして、無理やり尋ねてお参りしたところ、次第に近づくにつれて、山道の景色からまず涙が先にたって、言いようもなく、御庵室のありさまや御住まい、事柄、すべてが、目も当てられない。昔の御様子を知らないものでさも、ここの大体の御生活を拝見すれば、どうして普通のことだと思われよう。まして、昔のことを知っている身には、夢とも現実とも言いようがない。秋深い山おろしが、近くの梢に響きあって、筧の水の音、鹿の声、虫の音、どこでも同じことであるけれど、例のない悲しさである。錦を裁ちかさねたような美しい着物を着て、お仕えしていた人々は六十余人もいたけれど、顔を見忘れるほどに衰えた墨染めの尼姿をして、わずかに三、四人ほどがお仕えされる。その人々にも、「それにしてもまあ」とだけ、私も人も言いだした。むせぶほどの涙が溺れて、言葉も続けられない。
今や夢昔やゆめとまよはれていかにおもへどうつゝとぞなき
今が夢か、昔が夢かと迷われて、どう思ってみても、今の有様が現実とは思えないことです。
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